【レポート】</time2build> Kickoff イベントレポート

2025年10月10日(金)、Tokyo Bitcoin Baseで開催されたイベントでは、Lightning Networkの発展を支える技術者が集まり、Breez SDKとの概要と今後の展望が紹介されました。
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Breezについて
Breez Technologyは、イスラエル・テルアビブ発のスタートアップです。代表的なプロダクトであるBreez SDKは、開発者が数行のコードでビットコイン送受信機能をアプリに統合できるオープンソースツールです。これにより、許可不要のP2P支払いと即時トランザクションが可能になります。また、同社が提供するBreezアプリ(iOS/Android対応)は、ノンカストディ型ウォレットとして、自動的にリクイディティを管理しながらユーザーに快適なビットコインの送受信体験を提供します。
Time to Buildについて
Time to Buildは、Breezが主催するグローバル規模のチャレンジイベントで、Lightning Networkのエコシステム拡大を目的とした開発支援プログラムです。2025年10月7日から12月16日までオンラインで開催され、賞金総額は25,000ドル(約400万円)。Breez、Fulger Ventures、Tetherなどがパートナーとして参加しています。
このチャレンジは、Breez SDKをオープンソースアプリに統合し、価値のインターネットを実現するプロジェクトを支援する」ことを目的としています。
公式サイトには次のような理念が掲げられています。
なぜビットコインなのか。情報は瞬時に届くのに、お金はまだ遅れている。ビットコインは自由でボーダーレス、検閲不可能なデジタルマネー。
LinuxやWordPressがOpen Webを築いたように、BreezはOpen Moneyの基盤を築く。
いま、現金が消え自由な取引も失われつつある。自分の手で価値を動かすアプリを作る時。Breez SDKはノード運用なしでLightning決済を簡単に統合できる。
アプリ開発者からみたBreez SDKが切り開く ビットコインアプリの未来
登壇した川端氏は、Breez SDKを実際に使ってみて感じた「開発のしやすさ」と「思想の一貫性」について語りました。
従来はノードの運用やチャネル設定など多くの工程が必要でしたが、Breez SDKではそれらを自動で処理でき、数行のコードで送金機能を組み込めると説明。
開発者は複雑な設定に悩まず、アプリの体験設計に集中できるようになったといいます。
またBreez SDKは、ビットコインの理念であるセルフカストディ(自分で資産を守る)や非中央集権的な仕組みを大切にしており、 その思想が開発体験の中にも自然に溶け込んでいる点を魅力として挙げました。
川端氏は「エンジニア一人でも気軽にビットコインアプリを作れる時代が来た」と話し、Breez SDKがもたらす新しい開発の可能性に期待を寄せました。
日本ビットコイン産業株式会社 加藤さんによるスパークの説明では、ビットコインのステートチェーン技術を基盤とした新しいプロダクトとして紹介されました。ステートチェーンは、複数の鍵を更新して残高を送金する仕組みですが、スパークではこれを改良し、トランザクションをツリー構造化することで小額単位での送金を可能にしています。
また、運営を単一企業ではなく複数社によるフェデレーション体制とすることで、信頼性を高めている点も特徴です。
一方で、トランザクション回数に上限があるなどの制約も残っており、オンチェーン手数料の扱いが今後の課題とされています。
実装自体はシンプルですが、用途によってはプライバシー面への配慮が必要な技術として位置づけられています。
Q&A アフタートーク
質疑応答では、ウォレットデータやプライバシー、アプリ規約などの質問に丁寧に回答。最後に「ビットコインを動かすアプリを作ること自体が未来を形にする」と締めくくり、参加者にBreez SDKでの開発を呼びかけました。
Breez SDKがもたらす開発効率化とユーザー体験の革新は、ビットコインアプリの実装拡大を後押しし、ビットコイン活用の次なる段階を示す内容となりました。
